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顔を合わせる機会も必要である

式と披露宴に出席していた大多数の人は舞台の裏の出来事は何も知らずに、カップルの「新しい人生」への門出を祝う気分に酔っていました。そして、何日か後に両家からの丁重な詫び状で事情を知らせたというわけです。後日、訪ねてきたM子の口から、改めて事情の説明を聞いた時に、私はこの縁談が挫折したのも当然であるように思えました。まず、見合いの段階で、仲人が本人同士だけを引き合わせるという約束だったのが、その時になったら、相手の男性の母親がつき添ってきて、延々と息子の自慢話で会話を独占してしまったと言うのです。見合いには双方の親たちが顔を合わせる機会も必要であるのは認める。でも、この時は、とりあえず、まず本人同士の紹介ということであったので、自分の親は同席しなかったのに、相手の方は母親(父親はすでに死去)が同席したことが納得できなかった、とM子は言います。「その時に、母親と一人っ子の息子という親子関係が、何を意味するのかをよく考えればよかったんですけど……」「それを見抜けず、よく考えもしないで結婚する気になったのは、なぜなの?余程その男性が魅力的であったというわけ?」「いいえ、そういうわけでもないんです。でも、見合いした後に二、三回会って話をした時に、私の考え方に彼は賛意を示してくれたので、価値観に共通するところが多いから、細かな面ではなんとかうまくやって行けるだろうと思ったんです。それに、彼は毎晩熱心に電話をしてくるんですね。そんな熱心さにほだされたのかもしれません」
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