ブランド品といえば、シーズンごとのコレクションで新しいデザインを披露し、ファッショントレンドをつくりだす商品と考えがちで、消費者もつぎつぎに送りだされる流行に目の色をかえる。そんななかにあって、トレンドとは無関係に「かわらないもの、飽きのこないもの、たしかなもの」をポリシーに、1世紀近く服飾界に地位を築いているブランドがある。イタリアの「NANOBEYYI」(ザノベッティ)だ。フィレンツェの貴族が、自分の屋敷の中に設けた仕立て屋から発祥したブランドで、ハイソサエティ向けに、質のよいシンプルなデザインの服を、高度なカッティング技術とていねいな縫製でつくりつづけている。使う素材はカシミヤ、ウール、シルクなど天然素材の最高級品だけ。デザインもジャンルも、スタート時からかわらぬオーソドックスなものばかり。大量生産の大量販売といった手法には頼らず、独自のポリシーをしっかり守り続けている経営姿勢は、これが本物のブランドだと思わせてくれる。品格の高さで、着る人をブランドのほうが選ぶといった心意気のザノペッティは、経営者自身が、「うちのつくる服は、一度も流行したことがない」というほど、ひっそり、しかし根強く、愛好者に支えられて、ヨーロッパ貴族の誇りと美意識をつぎの世紀へとつなぐ。