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シャネルの服に夢中

祖母が最後に作ってくれた服は、白地に細かいグレーのストライプの入ったコットンのブラウスだった。当時、女性誌の編集者をしていた私は、シャネルの服に夢中だった。といっても実際に買えるわけではない。取材で借りてきたシャネルスーツに触れて、素材感を確かめたり、時にはその中の一着をそっと背に羽織ってみる。それより宝物だったのは、シーズンごとに資料としてプレス用に配られるカタログだった。そこにはイネスという貴族出身のボーイッシュなモデルが、マドモアゼル・ココそっくりの長い眉と尖った鼻で、彼女にしかできないたたずまいが漂っていた。服そのものというより、シャネルの世界に惹かれていたと言った方がいいかもしれない。忙しい編集の現場を離れて、小さな鎖付きの小粋なバッグをぶら下げ、ペタンコのベビーシューズでパリの街を歩きたい。時間に追われることもなく、会議毎タバコの煙まみれになることもなく、ノンシャランと優雅な女の人になってみたい……。